お役立ち情報

求人の探し方

お役立ち情報

「薬剤師」の転職先って何がある?

求人の探し方

公開:2025.06.18

更新:2025.06.18

「今の職場を辞めたい」

「いいところが見つかったら転職したい」

そう思っていても行動に移すのは難しいですよね。

薬剤師の就職先として、まず思い浮かぶのは薬局や病院でしょう。

しかし、薬剤師の職場はそれだけではありません。

転職してから後悔しないように「薬剤師はどんな職場で活躍しているのか」「職場ごとのメリット・デメリット」を把握し、自分にピッタリな転職先を見つけましょう!

薬剤師の就職先は薬局・病院だけではない!

薬剤師として活動する場は、薬局や病院だけではありません。

厚生労働省にて公表されている「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、薬剤師の勤務先は次の通りです。

勤務先

人数(人)

割合(%)

薬局

190,735

58.9

病院

56,585

17.5

診療所

5,878

1.8

介護保険施設

1,091

0.3

大学

4,902

1.5

医薬品関係企業(研究・開発、営業、その他)

25,786

8.0

医薬品関係企業(店舗販売業)

6,146

1.9

医薬品関係企業(配置販売業)

25

0.0

医薬品関係企業(卸売販売業)

5,129

1.6

衛生行政機関、保健衛生施設

6,927

2.1

その他

20,486

6.3

薬局・病院以外にも大学、医薬品関係企業(製薬会社、卸売販売業)、衛生行政機関・保健衛生施設(公務員等)に勤務していることがわかります。

次に、各勤務先の仕事内容、特徴を見ていきましょう。

薬局

薬剤師の勤務先として、全体の58.9%と最も多いのが薬局、いわゆる調剤薬局です。

薬局薬剤師の業務内容は、主に次のとおりです。

業務

内容

調剤・監査

医師の処方箋に従って薬を準備し(調剤)、誤りがないか確認する(監査)

服薬指導

患者に薬の正しい飲み方・使い方、副作用情報等を説明する

薬歴管理

患者の服用履歴やアレルギー、副作用情報などを薬剤服用歴(薬歴)に記録する

疑義紹介

処方箋の内容に疑問や確認事項がある場合、処方医師に確認・相談・提案する

医薬品管理

薬の在庫管理や品質管理を行う

 

●メリット

・様々な処方箋を受け付けるため知識が広がる

・地域に密着した医療貢献ができる

・基本的に夜勤がない

・日曜日が定休の薬局が比較的多い

 

●デメリット

・特定の医療機関からの処方箋が集中する薬局では、知識に偏りが出る

・医療機関によって疑義紹介のルールが決まっていることがあり煩雑

・個人病院の門前薬局では、診察が長引くと残業が増ええる

・雇用状況によっては、業務量が多く給料に比例しない

・従業員の少ない薬局では、対人関係が窮屈に感じる

・従業員の少ないと、休みがとりにくい

・医師との関係性に気を遣う

 

●向いている人

・協調性がある人

・患者や同僚と円滑にコミュニケーションできる人

・細やかな気配りや注意力がある人

 

●おすすめしない人

・チームワークが苦手な人

・報連相ができない人

・接客や患者対応が苦手な人

患者の薬や健康・ドーピングに関する相談、禁煙サポートなど地域医療に貢献できるのが特徴でしょう。

また、薬局によっては、患者の自宅や施設へ薬を届ける在宅介護の支援業務も行います。

そのほか、一般用医薬品の販売業務も薬局薬剤師の仕事です。患者の症状に合った薬を提案するだけでなく、状況に応じて専門医への受診を勧めます。

在宅訪問をメインとした在宅専門薬局や、漢方を主に取り扱う漢方専門薬局など、専門性に特化した様々な薬局があるのも特徴です。

 

病院・診療所

病院薬剤師は、病院内で多職種と連携し、患者の薬物療法の効果と安全に貢献します。

注射剤や抗がん剤、無菌製剤など専門性の高い薬剤を扱うため、薬局薬剤師よりも調剤の幅が広いのが特徴です。

病院薬剤師の業務は多岐にわたりますが、主に次の通りです。

業務

内容

調剤業務

処方された薬の量や投与方法、飲み合わせに問題がないか確認する(処方鑑査)

医師の処方箋に基づき、外来患者や入院患者の薬を調剤する

患者の副作用歴やアレルギーなどのチェックを行う

処方箋内容に疑問点がある場合は、医師に確認する(疑義紹介)。

病棟業務

病棟薬剤師として、患者が安全、適正に薬を服用できるよう、調査、対策する

院内の多くの部署と連携して、薬による副作用などが起こらないようにする

・処方された薬剤の服用方法、副作用情報などを入院患者または患者家族に説明する(服薬指導)

・患者が持参した薬の内容を把握する

・服薬状況や市販薬、健康食品の使用状況、副作用発現歴やアレルギー歴を確認し、必要に応じて医師や看護師に情報共有する

・薬の使用前には、疾患や症状、年齢、肝機能や腎機能の程度を確認し、薬の適切な投与量、投与速度を判断する

・血液中の薬の量を測ることで、個々の患者に適した投与量や投与間隔を決定する※1

注射剤混合

調製業務

アンプルやバイアルに入った注射薬を点滴の中に混ぜ、患者に使用できるように調製する業務※2

薬の管理

病院内で使用する医薬品の在庫状況を確認し、必要に応じて発注や供給を行う

厳重な保管管理が必要な麻薬や毒薬・向精神薬や、温度管理が必要な医薬品を管理する

チーム医療の

推進

チーム医療の一員として、栄養管理やがん化学療法、医療安全に関する感染制御、緩和医療など様々な分野で活躍する

チーム医療:医師や看護師、管理栄養士など医療スタッフがそれぞれの専門性を発揮して連携し合う、医療現場の取り組みのこと

救命救急業務

救命救急センターにて、薬剤師として救命救急業務に携わる

重症患者の状態に応じて、薬の選択や投与量・投与方法などを助言し、薬剤を調製する

製剤業務

市販されている薬では、十分な効果が得られないなどの理由により対応できない場合、院内で薬を調整する

医薬品情報業務

医薬品を安全かつ適正に使用するために、投与量や副作用、相互作用などの最新情報を収集・評価する

入手した情報は、医師や看護師など医療スタッフに共有する

治験業務

治験を実施するチームの一員として、専門的な立場から治験責任医師や治験分担医師の業務を支援する

治験業務:国の販売承認を得るために行われる、新薬の臨床試験(人における試験)を行う業務

教育

次世代を担う薬学生の実習指導や、薬の適正使用に関する教育を行う

※1 薬の効きすぎによる副作用の防止や、安全に薬の効果が得られるように治療を支援します。

※2 注射剤は体内に直接投与されるため、無菌かつ正確な作業が求められます。

 

●メリット

・チーム医療の一員として医師や看護師など多職種と連携し、専門性を活かせる

・薬の効果や治療経過を確認しながら、患者の治療に直接関わることができる

・薬局では経験できない幅広い業務に携われる

・最新の医療技術や新薬の情報に触れることができ、知識・スキルがアップデートできる

・コミュニケーション能力が磨かれる

 

●デメリット

・夜勤や当直があり、生活が不規則になりやすい

・入院施設のある病院によっては、夜勤・当直がない代わりに携帯電話を持たなくてはならないケースもある

・急患対応や、患者の生命にかかわる責任の重い業務が多い

・最新情報を把握するため、知識のアップデートが欠かせない

・業務分担により、希望通りの業務に携われない場合がある

・多職種との人間関係構築に苦労する

・調剤薬局やドラッグストアに比べて給与水準が低い傾向にある

 

●向いている人

・専門性を高めたい人

・勉強熱心で医療現場でのやりがいを重視する人

・責任感が強く、変化や緊張感に柔軟に対応できる人

 

●おすすめしない人

・生活リズムの乱れや当直が苦手な人

・高い専門性や常に勉強する姿勢が苦手な人

・携帯電話を持たなくてはならないことに負担を感じる人

病院薬剤師は、院内製剤や注射剤など特有の業務があり、専門性が高くやりがいを感じられる一方で、労働環境や収入面での厳しさもあります。

介護保険施設

介護老人保険施設(老健)とは、入所者のリハビリをメインに行う施設です。介護が必要と認定された高齢者が、自立した在宅生活を送れるように支援します。

介護老人保健施設などの介護保険施設で働く薬剤師業務は、主に以下の通りです。

業務内容

利用者の施設入所時の持参薬調査

調剤業務、服薬指導

利用者の状態に応じた薬物療法の見直し、提案

医薬品管理

施設内感染対策

栄養サポートなど、薬物治療以外でのサポート

●メリット

・調剤業務は基本的に定期処方であるため、勤務のシフトが調整しやすい

・医師や看護師、栄養士などと連携し、薬剤師の専門性を発揮しやすい

・病院に比べて投薬人数が少ないため、落ち着いて仕事に取り組める

・残業はほとんどなく、プライベートが充実できる

 

●デメリット

・常駐薬剤師が自分1人だけの場合があり、業務が多岐にわたり負担が大きい

・医療保険の関係上、新薬や高額の薬の使用が難しく、薬剤師としてストレスを感じることがある

・急性期医療の経験を積みにくい

 

●向いている人

・チーム医療の経験を積みたい人

・高齢者の薬物治療を学びたい人

 

●おすすめしない人

・急性期医療に携わりたいと考えている人

・つねに変化のある業務を求める人

介護保険施設では多職種と連携が必要なため、コミュニケーション能力のスキルアップに繋がる一方で、少人数体制であることや、保険制度上の薬剤選択に制限があるなど課題もあります。

 

大学

大学で働く薬剤師は主に、大学病院の薬剤師と、教育・研究職の薬剤師の2通りがあります。

ここでは、教育・研究職における薬剤師の仕事内容を紹介します。

大学での研究職は、大学の教員募集に応募し、採用されるのが一般的です。役職は、助教から講師、准教授、教授という順番でステップアップします。

 

主な業務

業務内容

教育活動

教育カリキュラムに沿って、幅広い分野の講義を担当する

試験問題の作成、実施(ペーパー試験、実技試験)

基礎実験や薬剤師の知識を取得するための実習を行う

学生の学業、進路や研究テーマなどの相談を受ける

病院、薬局の実務実習に向けての指導やサポートを行う

研究活動

薬学分野の基礎・応用研究を行う

研究成果を学会で発表し、論文にまとめて投稿する

研究室の運営

研究室に所属する学生の研究指導を行う

その他

入試やオープンキャンパスの運営・実施など

 

●メリット

・教育や研究を通じて、次世代の薬剤師や研究者の育成に携わり、やりがいを感じる

・研究成果を学会・論文で発表し、社会に貢献できる

・役職、実績により年収が上がる可能性がある

 

●デメリット

・助教は、短期契約など期限が区切られている場合が多く、教授や准教授になるまで安定した職業とはいいがたい

・求人数が非常に少ない

・教授まで昇進できるのはごくわずか

・研究・教育・大学運営など、様々な業務に携わる

 

●向いている人

・教えるのが好きな人

・研究に関心があり、探求心のある人

・論理的思考ができる人

 

●おすすめしない人

・研究成果がすぐに出ないことに焦りを感じる人

・長期的努力が苦手な人

教育・研究職の薬剤師は、薬学教育を担う点でやりがいを感じる一方、業務負担やキャリア形成など環境面で厳しさを感じることもあります。

 

研究・開発、営業、その他

製薬会社や化粧品メーカーなど、一般企業での就職もあります。

製薬会社における薬剤師の業務は様々ですが、主なものを紹介します。

主な業務

業務内容

品質管理・管理薬剤師業務

医薬品の製造から流通までのプロセスにおいて、適切な品質が保たれているか管理・監督する

GMP(医薬品の製造管理および品質管理の基準)を遵守し、行政機関へ報告や許認可手続きなどの対応を行う

研究開発

新薬の開発、製剤化の工夫など、薬学や生物学、化学など高度な専門知識を活かして医薬品の研究・開発に携わる

医薬品情報管理(DI業務)

医薬品情報を収集・管理し、医療従事者や患者、社内スタッフに提供する

顧客からの問い合わせ対応、副作用情報の収集も行う

DI:Drug Information

医薬情報担当者(MR)

医療機関に自社医薬品の有効性・安全性・適応症などについて正確な情報を提供し、医薬品の適正使用を促進する

単なる営業職ではなく、医薬品に関する高い専門力と、コミュニケーション能力を必要とされる

MR:Medical Representative

 

●メリット

・薬剤師の専門性を幅広い分野で活かせる

・新薬開発や医薬品の安全性確保、適正使用に関する情報提供を通じて、医療の発展や社会に貢献できる

・比較的年収が高い傾向にあり、福利厚生や勤務時間が充実している企業が多い

・社内における業務が多岐にわたるため、キャリアアップが目指せる

・繁忙期の予測がつくため、休暇が予定しやすい

・外資系企業では、英語を活かして仕事ができる

 

●デメリット

・トラブル発生時は迅速な対応を求められ、長時間労働が発生することがある

・患者と直接関わる機会が少ないので、臨床現場のやりがいを感じにくい

・外資系企業では、親会社の営業時間に合わせて勤務時間外に会議が開催されることがある

・英語文献を読むことがある

 

●向いている人

・正確な情報収集や分析が得意な人

・積極的に社内コミュニケーションをとれる人

・英語が得意な人

 

●おすすめしない人

・文書作成やデスクワークが苦手な人

・地道な作業が苦手な人

製薬会社では、医療の発展と患者の健康維持の貢献など社会的意義の高い仕事に従事できます。

そのほか、化粧品メーカーで化粧品を開発したり、食品関連会社にて成分分析や研究開発を行ったりして活躍する薬剤師もいます。

店舗販売業

店舗販売業、いわゆるドラッグストでは、一般用医薬品(OTC)や健康食品、化粧品、日用品など様々な商品を取り扱います。

業務内容(店舗によって差はあり)

薬剤師しか販売できないOTC医薬品(要指導医薬品や第1類医薬品など)の販売、説明

顧客の悩みや健康状態などをヒアリングして、最適なOTC医薬品を提案

必要に応じて医療機関の受診を勧める

店舗運営に関する業務(品出し、陳列、レジ打ち、店内清掃、販売促進業務など)

※調剤室を併設する店舗もあり、調剤業務専任として働く薬剤師もいます。

 

●メリット

・比較的給与が高い傾向にあり、高収入を目指しやすい

・OTCや店舗運営に関する知識を身に着けることができる

・勤務先・採用数が多く、待遇が安定している

・大手ドラッグストアでは、社内研修制度が充実している企業もある

 

●デメリット

・品出しやレジ打ちなど、薬剤師の専門性を必要としない業務が多くある

・立ち仕事や接客が多く、精神的・体力的な負担が大きい

・土日祝日や夜間でもシフトによっては勤務しなくてはならない

・調剤併設店舗では、調剤業務と店舗業務を両立しなければならないこともある

 

●向いている人

・接客が苦にならない人

・健康相談が好きな人

・幅広い業務に柔軟に対応できる人

 

●おすすめしない人

・立ち仕事や接客が苦手な人

・カレンダー通りの休みを希望する人

ドラッグストアでは高い収入が得られる一方で、店舗業務や接客など薬剤師の専門性を発揮しにくいところもあります。

卸売販売業

卸売販売業すなわち医薬品卸会社は、管理薬剤師がいなくては運営できません。医薬品卸会社における薬剤師の主な業務は、次の通りです。

主な業務

業務内容

薬事管理業務

医薬品の販売や取り扱いが、法律に基づき適切に行われているか監督・指導する

法律で定められた販売記録等の保管管理や、麻薬・向精神薬・毒劇物などの特別な管理も行う

品質管理業務

医薬品の温度管理、期限管理、衛生管理など

・温度管理:倉庫温度の記録・確認や、配送時の温度管理・指導などを行う

・期限管理:使用期限を確認する

・衛生管理:営業所全体の衛生面を管理する

DI業務

新薬の情報や、同種同効薬の一覧等を作成し、取引先の医療機関などに提供する

得意先の医療従事者からの問い合わせ対応や、医薬品卸販売担当者(MS:Marketing Specialist 薬品卸売会社の営業職)をサポートする

 

●メリット

・最新の医療情報に触れられ、幅広い知識を身につけることができる

・勤務時間が決まっていて、残業はほとんどない

・大型連休や夏季休暇、年末年始などの長期休暇がしっかり取れる

・災害・パンデミック時に地域の窓口と連携して、備蓄医薬品の選定や保管管理を行うなど、重要な役割を果たせる

・保健所等による立ち入り検査の際に、会社の代表としての対応業務にやりがいを感じる

・営業所内で唯一の専門職のため、周囲から大事にされる

 

●デメリット

・取り扱う製品が非常に多いため、幅広い専門知識が必要

・調剤、服薬指導を行わないため、臨床現場でのやりがいを感じにくい

・ミスをした際は流通全体に影響するので、プレッシャーを感じる

・薬剤師は営業所に一人しか配属されないことが多い

・取引先が多岐にわたるため、薬事法だけでなく、医療法、健康保険法等に精通している必要がある

・求人はそれほど多くない

 

●向いている人

・情報収集・分析力が高い人

・コミュニケーション能力が高い人

・職場に同業者がいなくても平気な人

 

●おすすめしない人

・デスクワークが苦手な人

卸売販売業の薬剤師は、医薬品の流通管理になくてはならない存在です。

衛生行政機関、保健衛生施設

衛生行政機関や保健衛生施設で働く薬剤師は、国や地方自治体に公務員として採用されるのがほとんどです。公務員薬剤師になるには、各種公務員採用試験に合格する必要があります。

 

●国家公務員薬剤師

国家公務員薬剤師は、主に厚生労働省に所属し、薬事行政や医薬品・食品の安全管理など、国民のために重要なミッションを担う行政官です。

国家公務員の薬系技官として担当する業務は次の通りです。

主な業務

業務内容

薬事分野

医薬品、医療機器等の安全性評価や品質管理の監督、医薬品の販売制度や薬剤師国家試験の改定など、流通する医薬品等を安心して使えるルール作りを行う

保健医療分野

診療報酬・調剤報酬の見直し、薬価算定など、国民が安心して医療を受けることができる体制を整える

食品安全分野

食品添加物や農薬、化学物質等に関する規制・基準を設定し、食品の安全性評価を行う

化学物質分野

化学物質のリスク評価や、麻薬取締官として麻薬・覚醒剤・危険ドラッグなど不正薬物を取り締まり、薬物乱用防止活動を行う

研究開発分野

医薬品や医療機器等の研究開発の促進や、医療ベンチャー企業の支援など、研究開発分野の環境を整える

その他にも、国際案件や感染症対策、災害・テロ対策など様々な分野で活躍します。

 

また、国家公務員特別職として、自衛隊薬剤師があります。自衛隊で働く薬剤師の勤務地は、病院と衛生部隊の2つに大別されます。

・病院勤務:自衛隊病院や、基地・駐屯地の医務室などに勤務し、病院薬剤師同様の業務を行います。

・衛生部隊:患者治療や医療施設への搬送、部隊員の健康管理、防疫、医薬品の在庫管理、衛生資材の調達・保管など様々な業務を行います。

 

●地方公務員薬剤師

地方公務員薬剤師は、各自治体に所属する薬剤師です。公立病院や保健所、行政機関(役所)、衛生研究所などが主な職場です。

主な職場

業務内容

病院

調剤、服薬指導など病院薬剤師として働く

保健所

医療機関や飲食店の立ち入り検査等、薬事衛生や食品衛生の監視・指導を行う

行政機関

県の薬務課などにおいて、薬局の開設許可や医薬品の製造・輸入に関する業務、麻薬の免許申請・管理といった薬物乱用防止活動などを担当する

衛生研究所

感染症の予防、食品や医薬品などの安全確保など、地域住民の公衆衛生向上のために、研究・検査業務を行う

●メリット

・公務員なので雇用が安定している

・地域の公衆衛生・健康を支える仕事にやりがいを感じる

・職場によって、食品・環境分野に関わることができ、医薬品以外の知識が広がる

 

●デメリット

・異動や転勤により、配属先や仕事内容が変わるおそれがある

・国家公務員の転勤先は、全国にまたがる

・希望の部署に配属されるとは限らない

・異動のたびに新しい業務に慣れる必要がある

・公務員は副業が禁止されている

 

●向いている人

・社会貢献や制度改定に関心がある人

・地域医療や公衆衛生に興味がある人

・安定した仕事につきたい人

 

●おすすめしない人

・異動が苦手な人

・業務の変化に柔軟に対応できない人

衛生行政機関や保健衛生施設で働く薬剤師は、地域住民の健康と安全を守る社会貢献度の高い仕事ですが、異動があるため負担に感じる方もいるでしょう。

その他

その他、学で働く薬剤師もいます。

●学校薬剤師

学校保健安全法で大学以外の学校に設置することが義務付けられているのが、学校薬剤師です。学校薬剤師の多くは、薬局薬剤師や病院・診療所の薬剤師が、兼任しています。

主な業務は次の通りです。

・学校環境衛生検査:プール水や水道水の水質検査、教室内の照度・空気・騒音などの点検

・薬物乱用防止活動:児童・生徒を対象に、たばこやアルコールの体への害を教育する

 

●メリット

・地域社会に貢献できる

・普段関わる機会の少ない児童たちと接する機会がある

 

●デメリット

・報酬が低いため、本業と兼任することが多い

・日中の業務なので、本業の時間を割かなくてはならない

 

●向いている人

・教育に関心がある人

・地域貢献にやりがいを感じる人

 

●おすすめしない人

・本業との両立が難しい人

・収入を重視する人

学校薬剤師は社会貢献できるためやりがいを感じる一方で、収入が低いため他の薬剤師業務と兼任することが多い仕事です。

それぞれの業務における平均年収

厚生労働省が公表している「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は599.3万円*です。

また、男女別で見ると、男性薬剤師の平均年収は651万円、女性薬剤師は556万円と、男女で100万円ほどの差があります。これは、女性薬剤師のライフイベントによる働き方の変化と考えられます。

*平均年収は、「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」にて算出

月給430,800円×12+賞与823,600円=5,993,200円(平均年齢40.9歳、従業員10人以上の勤務先の場合)

 

稼ぎたい方へおすすめの職場

薬剤師の勤務先ごとの平均年収は以下となります。

職種

平均年収(円)

薬局薬剤師

約490万~520万

病院薬剤師

約390万~520万

介護保険施設

約400万~600万

大学(教育・研究職)

約350万~600万

製薬会社

約400万~800万

ドラッグストア

約450万~700万

卸(医薬品卸売業)

500万~650万

公務員薬剤師

約500万~650万

学校薬剤師

約10万~20万

統計を基にした目安であり、地域や業務内容、役職、経験年数によっても年収は変わります。

薬局では、管理薬剤師の場合は700万円程度も見込めるケースもあります。

また、製薬会社は職種によって大きく差があり、研究職では1000万を超えるケースもあるようです。

公務員は、ほかの業務に比べると高年収ではありませんが、安定した収入を得られるのが特徴です。

 

ブランクがあっても再就職しやすい職場3選

薬剤師は、医薬品のプロフェッショナルとして国に認められた国家資格です。

そのため、ブランクがあっても比較的復職しやすいといわれています。しかし、すべての業種において再就職できるかというと、そうではありません。

出産や育児により休職していた薬剤師が、再就職しやすい職場を調べました。

 

ドラッグストア

ドラッグストアは求人数が多く、パートや時短勤務など柔軟な働き方が可能です。

未経験やブランクがある薬剤師でも積極的に採用しているところが多く、特に大手チェーンでは、研修制度が充実しているところもあります。

調剤薬局併設店舗であれば、医療用医薬品と一般用医薬品(OTC)を取り扱えるのも特徴です。

一方で、ドラッグストアではレジ打ちや品出しなども行わなくてはならない場合もあります。

また、年中無休で遅い時間まで営業している店舗も。応募前に、自分の希望に合った働き方ができるのか確認しておくと良いでしょう。

 

調剤薬局

調剤薬局は、ブランクがある薬剤師の受け入れ態勢が整っている職場も多く、再就職しやすい職場の1つです。

厚生労働省の「令和4年度薬剤師確保のための調査・検討事業報告書」によると、薬局における非常勤薬剤師の割合は、女性が40.3%と大きな割合を占めています。家庭とのバランスを重視して働きたい女性が、復帰しやすい環境にあると推察されます。

ただし、人手不足で忙しい薬局や、患者数が多い病院の門前薬局などでは、即戦力を求められるおそれがあります。

ブランクによる薬剤師業務に不安を感じる場合は、処方箋の受付枚数が多すぎず、余裕を持って働ける薬局を選ぶと良いでしょう。

 

病院

病院は、施設によってブランクのある薬剤師の採用に積極的かどうか異なります。

急性期病院や大学病院なでは、高度な知識や経験、即戦力が求められるのでハードルは高いでしょう。

一方で、慢性期病院や、特定の疾患に特化した病院は、ブランクがあっても再就職しやすい傾向にあります。急性期病院と異なり、調剤する薬の種類が多くないことや、至急対応が少ないので、落ち着いた環境と言えるでしょう。しかし、再就職にあたっては、最新の知識へのアップデートは欠かさないようにしましょう。

 

まとめ

薬局・病院以外にも、薬剤師の活躍の場はたくさんあります。

「今の職場を辞めたい」と思っている場合、まず現状の何をどう改善したいのか明確にしましょう。

転職の際は、仕事内容だけでなく、勤務時間や収入など、ライフスタイルに合わせた働き方を考える必要があります。

収入アップを目指すのであれば、薬局やドラッグストア、

臨床経験を重視する場合は薬局や病院、診療所、介護保険施設が選択肢になるでしょう。

教育や研究に興味がある方は大学や製薬会社、安定志向を望むのであれば公務員を検討してはいかがでしょうか。

希望条件がクリアになったら、次は希望に合った職場を探しましょう。

キャリソルでは、条件が確認できるだけではなく、その職場で働く人のリアルな声をクチコミとして確認できます

ぜひ、キャリソルを活用して、最高の転職をかなえましょう!